リアップとの出会い、そして失望と疑い

 

 しかし……遂に本物の養毛剤であるリアップが国内発売となったのです。発売日には惜しくも買い逃し、その後いくら探しても見つがらなかったのですが半月後に取材先の大泉学園駅前の薬局で偶然入荷直後のリアップを購入しました。

 まず驚いたのは正確に少ずつ量れるようになっていたことです。たとえれば洗濯の時に使う柔軟剤の容器と同じ構造で、キッチリ量って使うようにできているのです。今までの育毛剤が味の素のようなものでいくらでもジャンジャン頭にふりかけることができたのとは大違いです。さすがは医薬品だと感心しました。

 つけた瞬間に感じたのは、刺激がほとんどないことです。今まで試した育毛剤はどれもがタイガーバームキンカンのような強烈な刺激で頭皮に浸み入ってきたものですが、リアップはまったく違います。ここで(夕と気付きました。もしかしたら従来の育毛剤は清涼感と刺激で効いたような気にさせていたのではないだろうか……。要はパッタリ……。

 それから毎日せっせと朝晩リアップをつけて頭皮をマッサージする生活に突入しました。洗面所に置かれたリアップを見た妻はいいました

「友達が来たときは隠してね」

失望と疑い

 さて、リアップをつけ続けて2ヵ月が経過しました。さぞかしフサフサにと思っだのですがどうも様子が違う。むしろハゲが進行しているような気がします。気のせいかと思っていたのですが妻に聞くとやっぱり前よりハゲたという。この2ヵ月の間に引っ越しや部署の移動とめまぐるしく環境が変わったこともあるのですが、別にとりたてて悩むようなストレスではない。奇妙に思っだので今度は頭の左側半分だけにリアップをつけ続けてみました。薬のあるなしで差がハッキリ出るのではないかと思ったからです。するとなぜかリアップをつけた左側のこめかみ部分の方で、微妙ながらハゲが進行していくのです。つけた側でハゲが進行するなんて、これは変です。

 原因を考えてみると思い当たることがありました。リアップをつけて頭皮をマッサージしていると指が脂ぎってくるのです。これは私の頭皮が脂症であることが原因なんですが、従来の育毛剤ではこうしたことはありませんでした。従来の育毛剤はアルコール類で毛根の脂を溶かしてメントールなどで清涼感を演出するのが基本作用だったからでしょう。これに対して、リアップは脂を溶かす作用が少ないため、私のような30を越えても吹き出物が出てくるような皮膚の持ち主では毛根を脂質で塞ぎかねないのだと考えたのです。これはあくまで推論ですが、このことに気づいてからリアップは、風呂上がりの脂分が抜けた頭皮に念入りにつける方法に切り替えました。

薬ミシュラン』より