MRI診断装置:核を利用して人体断面を画像化

 英語のソーナンスは、“鳴り響く″という意味だ。REがつくと、リゾナンス(resonance)で、共鳴とか共振である。したがって、マダネティック・リゾナンス・イメージンダ(Magnetic Resonance Imaging)を日本語でいえば、磁気共鳴画像化またぱ磁気共鳴イメージングだが、略してMRIといったほうが、わかりやすいだろう。ただし、こういう名称になったのは最近で、以前はNMR(Nuclear Magnetic Resonance.核磁気共鳴)といわれていた。

 MRI装置は、もうそれほど珍しくはなくなった。寸づまりのトンネルのようななかに、人間を台に寝かせて通すことで、人体各部の断面を鮮明に画像化する診断装置である。

 人体の断面を画像化する装置には、もう一つX線CT(コンピューターテッド・トモダラフィー。断層写真のコンピュータ画像化撮影装置である。人間の頭皮や頭蓋骨、脳、脊髄などは、それぞれ組織によってX線の透過量がちがうので、コンピュータによってその透過量を読みとり、映像として再構成する方法だ。

 ただし、X線を透過しにくい骨のような硬部組織と、透過しやすい脳などの軟部組織は、画像でもコントラストがはっきりと出るが、似たような組織が接したところになると、かなり見にくくなってしまう。そこで濃淡の差が小さいときには、コンピュータで画像化するときにややオーバーに表現するという処理をくわえなければならない。したがって、微妙な組織のちがいも、四捨五人式にやや大胆なグラデーションにせざるをえないのが、X線CTである。

 MRIは、こういう方法による画像とはまったくちがう。旧姓NMRでわかるように、原子核が磁場のなかで、ある特定の周波数の電波に共鳴する現象(NMR現象、またはMR現象という)を利用したものだ。
 「核」というと、すぐにかつての「米ソ」ミサイル合戦を連想してしまうが、われわれの肉体だって、核だらけである。各部の組織があり、細胞があり、分子があり、原子があるのだから、その原子核があるのはあたりまえのことだ。しかし、それでも、″核”というとあまりいい印象がないので、NMRのNTこIクリア、核)をとり、MRと呼ぶようになったのである。