効果的な数字の使い方

 加工食品に栄養成分が表示されるということは,消費者にとって,喜ばしいことである.ところが,その表示に問題がある.

   A商品        B商品
  エネルギー 150 k  エネルギー  232 k
  たんぱく質 5.8 g  たんぱく質  9.7 g
  脂質    5.4 g  脂質    11.8 g
  糖質    19.4 g  炭水化物  21.8 g
  食塩     2.6 g  ナトリウム  940 mg

 A商品は食塩で表示してあり,Bのほうはナトリウムで表示されている.どうちがうのだろうか.

 メーカーに問い合わせてようやくわかった.単純計算では,ナトリウム量×2.5で食塩に換算できるとのことであった.だとすれば,食塩相当量で表示してもらったほうがいい.ナトリウムと食塩の換算指数は,ほとんどの人が知らない.知っているのは,医師,栄養士,薬剤師,食品加工業に携わる専門家ぐらいなものである.

 もう1つ疑問が出てきた.A商品とB商品の比較表を見て気がついた方も多いと思うが,糖質表示と炭水化物表示とある.技術用語である.どうちがうのだろうか.知りあいの薬剤師に問い合わせたところ,同じだそうである.これは,表記上の不統一ということになる.加工食品の成分表示については,厚生省の指導で, 1997年度より,正式に義務づけられる.その試作段階だから,このようにばらばらな表示になったのであろう.

 また,ある製品では.
  食塩 2.6 g  ナトリウム 940 mg

と両数値が表示してあった.その両方が入っているのか,片方だけの数値で計算すればいいのか,あいまいである.

 効果的な数字の使い方

 自社製品の売れゆきの状態を,顧客に効果的にわかってもらうには,シェアでしめす方法がある.しかし,この方法では,自社製品の市場占有率が,相当に高くないと効果は出ない.それどころか,他社製品に乗り移られる危険性もはらんでいる.           

 自社製品の売り上げ推移は,以下のとおりである/
  売上年度  」994  1995  1996
  売上高    300  350  1500
  市場占有率   0.2   0.2   1.0

 市場占有率は, 1996年度で1%であり,微々たる数字である.しかし, 1995年度にくらべると,5倍に伸ばしている.

 こんなケースでシェアをしめしても,なんの効果もえられない.このようなばあいに,顧客にアピールできるのが,“前年度売上比率”という数字である.

  「前年度売上比率5倍」

という文は,顧客の目に,はっきり焼きつくはずである.