効かない薬が処方されている

 

 薬害などの例は、死者が出たり収賄で逮捕されたりしてはじめて公になった。逆にいえば、副作用死や収賄逮捕がなかったら、永遠に明るみに出ることはなかったということだ。

 たとえば98年、厚生省は老人性痴呆症治療薬の4薬の承認取り消しを行なった。これは薬の効果がないのでこれ以上使うなということだ。これらの中には年間100億円以上売り上げていたアバン(武田薬品工業)という薬もある。つまり、取り消したとはいえいったんは、効果がない薬に100億円もの金を消費者に使わせていたのである。死者が出ないから事件にならないだけで、これは国と医薬品業界が組んだ金銭的な詐欺ではないのか? とにかく100億という金が、効かない薬のために費やされた。その金は医者とメーカーの懐に入り、また税金として国庫に入ったのである。

 さらに承認取り消しとまでいかなくても、世界に通用しない、効かない薬が日本にはゴロゴロしている。これらを処方するのは医者にとっては簡単なことだ。とくに良心を捨ててしまった医者にとって都合のいい薬とは、副作用が弱くて薬価が高い薬なのである。こうした薬を出しておけば副作用のリスクはないし、患者を生かさず殺さずにしておけるので永遠に懐が潤っていくというわけである。

薬ミシュラン』より