老人ホームへの入所等
(1)特別養護老人ホームへの入所
居宅では適切な介護を受けることの困難な65歳以上の寝たきり高齢者等を、入所させて養護する。経済的理由を問われないが、介護保険を利用できない場合に限られる。
(2)養護老人ホームへの入所
心身機能の減退などのため日常生活に支障があるか、住宅に困っている65歳以上の高齢者を、入所させて養護する。経済的理由(市町村民税の所得割非課税世帯か、災害などで困窮していること)が必要である。
(3)養護委託
養護者がいないか不適当である65歳以上の高齢者を、自分の家庭で預かって養護してくれる人(養護受託者という。市町村長が認定)に委託する。
(4)葬祭の実施・委託
養護老人ホーム・特別養護老人ホームの入所者や、養護受託者に養護委託をした高齢者が死亡し、葬祭を行う者がない場合に、葬祭を行い、または葬祭を委託する。
J)老人ホーム入所の要否判定
養護老人ホームと特別養護老人ホームへの入所基準は、「老人ホームへの入所措置等の指針について」(昭和62年厚生省通知)に定められているが、入所措置の要否は、入所判定委員会(福祉事務所または町村単位で設置)において、「老人ホーム入所判定審査表」により、健康状態(入院加療を要する病態でなく、他に伝染させる疾患がないこと)・日常生活動作の状況(要介助の程度)・精神の状況(痴呆等による問題行動の程度)などから、総合的に行われる。入所判定委員会での要否判定が困難なヶ-スは、都道府県・指定都市・中核市単位で構成される「入所判定審査会」へ回され、意見が求められる。
措置の実施者(市町村等)は、この入所決定に基づき、当該市町村等が設置する老人ホームに入所させるか、他の地方公共団体または社会福祉法人の設置する老人ホームに入所を委託する(11条)。委託を受けた老人ホームは、入所の余力がない(満員)等の正当な理由がなければ、これを拒むことができない(20条2項)。
3 その他の支援サービス
高齢者や家族が、介護保険やその他のサービスによって老後の生活が安定するためには、これらを円滑に利用できるような配慮が必要である。
市町村は、老人福祉法による福祉措置、介護保険によるサービス、高齢者福祉増進を目的とする事業を行う者の活動の連携・調整を図るなど、地域の実情に応じた体制の整備につとめなければならない(10条の3後段)。
また、介護保険制度の対象でない配食サービス、移送サービスなどの生活支援対策といった介護保険の周辺施策をどのように実施していくかも課題である。
このため、近年、いろいろな事業が展開されている。