保健サービス(老人保健法)

 

 老人保健法は、医療等以外の保健事業として、次のサービスを規定している。

 (1)健康手帳の交付

 高齢者自らの健康管理と適切な医療の確保に役立てるため、健康手帳が交付される。対象者は、老人医療受給対象者全員と、40歳以上の保健事業参加者・介護保険法の要介護者等で必要がある者である。健康診査・健康教育・健康相談などの保健事業の記録欄、健康保持と適切な受療のための知識などを掲載し、日常生活の正しい健康管理、よい保健習慣を身につけるために活用する。

 (2)健康教育

 生活習慣病の予防、要介護状態の予防などについての正しい知識の普及を図るとともに、適切な指導・支援によって、自らの健康保持への自覚を高めるために、市町村保健センター・医療機関・健康増進センターなどで、個別健康教育・集団健康教育、介護家族健康教育が実施されている。対象は、40歳以上の地域住民とその家族などである。

 (3)健康相談

 心身の健康についての心配や不安をもつ者に対して、個別の相談に応じ、専門家からのアドバイスなどを行い、家庭での健康管理に役立てるために、市町村保健センター・公民館などで、気軽に、幅広く相談できる健康相談室などの窓口を設け、重点健康相談・介護家族健康相談・総合健康相談が実施されている。対象は、40歳以上の地域住民とその家族などである。

 (4)健康診査

 心臓病・脳卒中などの生活習慣病を予防する対策の一環として、これらの疾患の疑いのある者や危険因子をもっている者をスクリーニングするとともに、診査の結果、必要な者に対して、栄養や運動等に関する保健指導、正しい保健知識の普及、医療機関への受診指導などによって、壮年期からの健康への認識と自覚の高揚を図る。集団検診車や、市町村保健センター・保健所・医療機関などで、基本健康診査・歯周疾患検診・骨粗鬆症検診・健康度評価を実施している。対象は、40歳以上の地域住民である。

 (5)機能訓練

 疾病・外傷・老化などにより心身の機能が低下している者に対して、心身機能の維持回復を図るために必要な訓練を実施することによって、閉じこもりを防止するとともに、日常生活の自立を助け、要介護状態を予防するために、機能訓練が行われている。対象は、40歳以上の地域住民で、疾病・外傷・その他の原因で身体または精神機能の障害または低下に対する訓練をする必要がある者や虚弱高齢者である。ただし、医療におけるリハビリテーションを要する者や、介護保険の要介護者は原則として除かれる。

 (6)訪問指導

 40歳以上の地域住民のうち、心身の状況や環境などに照らして療養上の保健指導が必要と認められる者とその家族に対して、保健師・看護師・管理栄養士・歯科衛生士・理学療法士作業療法上などが訪問して、主治医と連携を図りながら、家庭における療養方法・看護方法・機能訓練方法の保健指導や家族への支援、関係諸制度活用方法等に関する指導などが行われる。