介護保険制度の仕組み

 

 介護保険制度は、加齢にともなって生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、介護や看護を必要とする人たちに対して、これらの人たちがその有する能力に応じ自立した日常生活が営めるよう、必要な保険給付を行うものである。 1997年12月9日に成立し、2000年4月1日に施行された介護保険法(以下、条文を示す場合等に「法」と略記)に基づき実施されている。その仕組みは以下のようになっている。
1) 保険者と被保険者
 j)保険者
 介護保険の実施主体、すなわち保険者は「市町村及び特別区」(以下、「市町村」と略記)である(法3条)。保険者は、介護サービスの給付の決定や支払いをする給付主体としての役割と、介護保険料の設定・徴収・管理を行う財政主体としての役割を担う。

 保険者を市町村としたのは、住民にもっとも身近な存在であるからである。しかし市町村のなかには、財政主体としての役割を果たすには、スタッフも財力も不十分なところも多い。そこで、介護保険法では、保険者を市町村としながら、国、都道府県や医療保険者がそれぞれの側面で、援助・協力すべきことを明記している(法5~6条)。

 2)被保険者

 被保険者は、市町村の区域内に住所を有する40歳以上の者である。このうち、65歳以上の者は「第1号被保険者」、40歳以上65歳未満の者(医療保険加入者であることが条件)は「第2号被保険者」とされる(法9条)。

 第1号被保険者と第2号被保険者とでは、保険給付の要件が異なる。第1号被保険者は、原因を問わず介護が必要な状態にあれば保険給付の対象となるのに対し、第2号被保険者は、初老期痴呆症状や脳血管障害、骨粗鬆症など、「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病であって政令で定めるもの」(「特定疾病」という)によって要介護の状態となった場合にのみ、保険給付の対象となる(法7条3項)。