保険給付の種類

保険給付
 1)保険給付の種類

 保険給付には、要介護状態に関する「介護給付」、要介護状態になるおそれがある状態に関する「予防給付」、およびその他条例で定める「市町村特別給付」の3種類がある(法18条)。

 2)介護給付の種類と内容

 介護給付の種類は、居宅(在宅)サービスと施設サービスに分けられ、居宅(在宅)サービスとしては、都道府県知事が指定した事業者による訪問介護訪問看護通所介護(ディサービス)、および短期入所生活介護(ショートスティ)などを利用したときに支払われる居宅介護サービス費の支給が代表的なものである。他方、同じく都道府県知事により指定された施設のサービスを受けたときに施設介護サービス費が支払われるが、対象となる施設は介護老人福祉施設特別養護老人ホーム、以下「特養」と略記)、介護老人保健施設(知事の指定不要。老人保健施設)、および介護療養型医療施設療養型病床群など)である(法40条)。

5 利用者負担

 サービス利用費のうち、保険給付でカバーするのは費用の9割で、残りの1割はサービス利用者が自己負担することになっている。これは、サービスを利用する人としない人との公平、サービス利用についての費用負担意識の喚起などの観点から設けられたものである。ただし、居宅介護サービス計画(ケアプラン)の作成費については利用者負担はない。また、1割の利用者負担が高額になる場合には負担の上限を設け、それを超える額について「高額介護サービス費」が支給される。

6 財源

 財源については、総給付費の50%が公費で負担される。これは、必要な費用を保険料だけで賄うとすると、保険料がかなり高額になること、および制度における公的責任や現行制度との整合性などの見地からこのように決定された。公費のうち、国、都道府県、市町村の負担割合は、2:1:1(それぞれ総給付費の25%、12.5%、12.5%)である。

 なお、介護保険は市町村を保険者としているが、各市町村は高齢化率(とくに要介護の危険性の高い後期高齢者の割合)、高齢者の所得水準などに大きな格差がある。そのため、国費の5%分は、市町村間の財政力の格差の調整に充てられることになっている。

7 基盤整備

 被保険者が介護保険の理念である「サービスを選択する」ことができるためには、施設もマンパワーもニーズに対応できる程度に整備されていなければならない。その基盤整備の責任について介護保険法は、国については「保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針」を、市町村についてはこの指針に則して「保険給付の円滑な実施に関する計画(市町村介護保険事業計画)」をそれぞれ定めるものとしている(法116条、117条)。この計画の中には、サービスの種類ごとの量の見込み、その見込み量の確保のための方策などを定めることとしており、各市町村ではこの規定に従って介護保険事業計画を策定している。ただ、実際にどこまで整備をする責任があるかについては明確な規定がないため、市町村によって基盤整備の実態はまちまちである。