サービスの量と質の確保

1 サービスの量と質の確保

 量的にも質的にもまだ不十分な介護サービスをいかに充実させるかが重要な課題である。まず、特養に申し込んでから1~3年しないと入所できないという現状打破のためには、早急に特養などの施設を増設することが要請されるが、それとともに、特養に入所しなくても在宅で生活できるような在宅サービスを充実させることが不可避である。それには訪問介護員ホームヘルパー)の数を増やすともに、ホームヘルパーが誇りをもって仕事に専念できるよう、介護報酬単価を引き上げることが必要であろう。

 訪問介護の基準となる報酬は30分から1時間未満の場合、身体介護が4,020円、生活援助が2,080円となっているが、単価が安いために家事援助に需要が集中している。これでは、数をこなさないと採算が取れず、利用者とゆっくり話をするどころか、利用者の家から家へと走り廻らざるを得なくなる。また。パートのヘルパーが多いことも問題である。家事援助の報酬単価を上げ、ヘルパーを常勤にすることによって安定した収入が得られ、ヘルパーが誇りと責任をもって仕事に専念でき、それがサービスの質を上げることになる。また、さまざまな事業者が競い合うことによって、質の向上が図られることを思えば、民間事業者やNPOなどがより参入しやすいような多少の規制緩和、支援策も必要かと思われる。

2 被保険者の範囲、介護保険の適用範囲の拡大

 現行の介護保険では、第2号被保険者である40歳以上65歳未満の人は、要介護の状態になっても、その原因が加齢にともなう疾病でなければ保険の適用がないが、理由の如何にかかわらず、要介護状態になれば保険給付の対象とするよう制度改革が望まれる。そのためには、被保険者の範囲を20歳以上とし、20歳以上の人からも保険料を徴収し、保険給付も20歳以上で要介護状態の人すべてを対象とすることも一方法である。

 このように改善すれば、(20歳以上の人からも保険料を徴収することによって)1人あたりの保険料は現行よりかなり低額になることが予想され、さらに理由の如何にかかわらず介護を必要とする被保険者すべてを保険給付の対象とすることによって、若い被保険者の不公平感が軽減され、この二つの理由から保険料の未納者、滞納者の減少が期待される。また、一定の所得以下の人には、保険料負担を免除することも必要であろう。

3 ケアマネジャーの地位と所得の保障

 ケアマネジャーが任務に専念できるためには、事業者から独立した地位と専門職としての所得を保障されることが必要である。