任意後見制度

 任意後見制度は、法定後見のように、判断力がなくなってから申し立てを行うのではなく、判断力が十分あるうちに、もし痴呆等の精神上の障害によって判断力が不十分になった時の財産管理を委任しておくものである。任意後見人は、自分の信頼できる友人や弁護士など誰でもよく、法人もなることができる。この「後見人」は、家庭裁判所が選んだ個人・法人の監督を受け、不正があれば解任されることになっている。

 またこの制度では、以前と違って、市町村が必要に応じて住民の後見を申し立てることができるようになった。東京都品川区では、判断力があるうちに「痴呆になってもサービスを利用する」との契約を区社会福祉協議会と結べば、痴呆になった後もサービスを利用できることになっている。その契約のなかに・、  !亡くなった後の財産をどう処分するかについても決めておく場合もある。弁護士や医師らでつくる審査会が痴呆かどうかを判断し、その人にとってどのようなサービスがふさわしいかを決めることになる。

 都会では、自宅から半径500メートル以内に親戚がいない高齢者も多い。そうしたことから、痴呆になる前に、自分の意思であらかじめ後見人を決めておけば、いざというときに安心である。

 成年後見制度について、家庭裁判所では、リーフレットを用意し、手続きや申し立てに必要な書類や費用などについて説明する家事相談を行っている。こうした窓口に相談に訪れる人は、制度が施行されて以来増加している。