高齢者福祉を担うマンパワー

 

1 社会福祉士

 社会福祉士とは、社会福祉の専門的な知識や技術をもって、身体上または精神上の障害や、日常生活を営むうえで支障がある者を対象に、相談という形をとりながら助言や指導、援助を行う専門職である。一般的に彼らはソーシャルワーカーあるいはケースワーカーと呼ばれる。また社会福祉士は、1987年に制定された「社会福祉士及び介護福祉士法」によって規定された国家資格でもある。

 具体的な仕事の内容は、高齢者や身体障害者知的障害者、児童などの援助を必要とする人や、またその人を取り巻く家族に対し、その入らしい生活を支援するためにさまざまな相談や助言、指導、援助を行うものである。職種としては、福祉事務所を代表に行政機関における社会福祉主事や、社会福祉施設生活指導員生活相談員、児童指導員、また保健・医療機関にあっては医療ソーシャルワーカー(MSW)、地域福祉の分野では社会福祉協議会福祉活動指導員や、福祉活動専門員などが主にあげられ、高齢者や障害者、児童、そして彼らを取り巻く家族といった幅広い利用者に対して、相談援助を行う。相談援助業務に携わる者が留意しなければならない点は、常に相談者や利用者の立場にたって、最大限その入らしい生活がおくれるよう配慮することにある。また、社会福祉に関する制度や機関といった情報をわかりやすく伝え、関係機関との連絡・調整を十分に図る姿勢が必要となる。

  現在1万8,502人(2000年2月現在)が社会福祉士として登録している。そして具体的な職場として、都道府県や市町村、福祉事務所、身体障害者更生相談所、知的障害者更生相談所、児童相談所社会福祉協議会社会福祉事業団、福祉公社、高齢者福祉施設身体障害者福祉施設知的障害者援護施設、精神障害者社会復帰施設、一般病院、福祉生活協同組合、民間のシルバーサービス企業や事務所などで勤務することができる。

2 介護福祉士

 介護福祉士とは、福祉に関する専門的な知識と技術をもって、身体上または精神上の障害があることにより日常生活を営むうえで支障がある者に対して、入浴や排泄、食事その他の介護を行う者をいう。さらに、本人や本人を介護している介護者に、介護に関する指導を行う専門職でもあり、ケアワーカーと一般にはよばれる。また介護福祉士も、1987年に制定された「社会福祉士及び介護福祉士法」によって規定された国家資格である。

 具体的な仕事の内容は寝たきりや痴呆性高齢者、身体障害者知的障害者など、日常生活に介護を必要とする者や、介護者である家族に対して、掃除や洗濯、部屋の整理整頓、調理などの家事援助や、入浴や排泄、食事介助や衣服の着替えといった身体介護を中心に行う。また、外出時の付き添いや送迎などのほかに、初期症状における見守りや与薬、水分補給、医療機関への連絡なども行う場合がある。さらに、介護福祉士は、介護を必要としている者の介護を行う場合、家族や友人、近隣とあ爵人関係の調整や、家族に対する介護指導や助言なども行う。職場や職種としては、福祉の行政機関である市町村、社会福祉事業団、福祉公社、さらに社会福祉協議会などで実際のケアワーカーとして働いたり、介護にかかわる事務的業務などや、高齢者福祉施設では介護老人福祉施設特別養護老人ホーム)や介護老人保健施設などがある。また、障害者施設では身体障害者福祉施設知的障害者援護施設などでケアワーカーとして働く場合もある。さらに訪問介護事業所で介護福祉士をもつホームヘルパーとして勤務したり、民間のシルバーサービス企業で働くこともできる。介護業務に携わる者は、常にサービス利用者の生命の安全と人権の尊重を踏まえ、本人の生活に即した介護援助を行わなければならない。そして、本人の残存能力の機能をできるだけ活用するような、自立支援を計画する必要があり、関係機関との連絡一調整が求められる。

 現在16万7,992人(2000年2月現在)が介護福祉士として登録している。勤務先には、行政機関や各種団体、福祉施設身体障害者施設、そし不在。宅福祉分野でホームヘルパーなどが代表的である。また近年、民間企業が行うシルバーサービス事業にも、介護福祉の新しいスタイルを求めて働く者が多くみられるようになっている。