精神保健福祉士

 

 精神保健福祉士とは、精神障害者を対象に、治療上の問題や、社会復帰を図るための援助を行う専門職である。精神障害者は、身体障害者知的障害者よりも、地域への社会復帰という点て困難な状況が多いため、精神病院などでの長期入院を強いられがちである。そのため、社会復帰にむけて退院後の生活環境の調整について助言や指導を行う。たとえば、退院後の住居の問題や、雇用の問題、さらには家族との関係などが代表的なものとして考えられる。これまでPSW (Psychiatric Sosial Worker)として呼ばれていたが、1997年12月の精神保健福祉士法の制定によって、国家資格として位置づけられるようになった。

 具体的には、精神病院に入院してから退院までの日常生活における支援や、退院後の社会復帰にむけての関係機関との連絡や調整、さらに家族関係の把握などである。さらに、デイケアや共同作業所での活動を支援することも精神保健福祉士の重要な仕事となってくる。

 現在6,924人(2000年2月現在)の精神保健福祉士が、精神病院や心療内科をもつ病院・診療所、保健所や保健センターなどで働いている。しかし精神障害者の数は約220万人にのぼり、なかでも最近では精神障害者による事件が大きく取り上げられることから、精神保健福祉士の役割はさらに重要なものとなっている。

5 訪問介護員ホームヘルパー

 訪問介護員ホームヘルパー)とは、高齢者や身体障害者といった介護や支援を必要とする者の自宅を訪問し、家事援助サービスや、介護援助サービスを提供する専門職である。

 具体的な仕事の内容は、食事の介助や入浴、排泄、衣服の着脱といった身体介護サービスや、調理、掃除、洗濯、買い物などの家事を行う。さらに介護を必要とする者の自宅に赴くことから、住み慣れた家のなかでの利用者本人への援助や家族に対しての介護技術的な指導も行っている。

 訪問介護員には、市区町村から派遣されるヘルパーと、非営利団体から派遣されるヘルパー、在宅介護サービス事業者から派遣されるヘルパーの3類型がある。一般的に1回のあたりの訪問時間は巡回型で30分程度であり、滞在型では1~2時間程度である。

 現在15万7,711人(1998年3月現在)のホームヘルパーが、高齢者、身体障害者、心身障害児(者)に対して訪問介護事業を展開している。訪問介護員の職場としては、市町村、福祉公社、社会福祉協議会、在宅介護支援センター、福祉系生協、訪問介護事業所、家政婦紹介事業所などがあげられる。

 訪問介護員になるための資格や要件は現在とくにない。しかし、市区町村が実施主体となっているホームヘルプ事業に参加するうえでは、国が規定したホームヘルパー養成研修を修了することが義務づけられている。