当時唯一の育毛薬品『カロヤンS』

 


 ハゲの形式でいえばふ堺一機・そのまんま東タイプとでもいいましょうか。額の両サイドで砂漠化か進行していくという、最も無駄な抵抗を試みたくなるハゲです。たとえばカッパハゲならば歴然としたハゲなので落つる涙はとあきらめもつくでしょうが、徐々に海岸線が侵された沖の鳥島に国が護岸工事をするように額のボーダーラインの曖昧さは無駄な抵抗を試みたくなるものなのです。


 最初に用いたのは第一製薬の「カロヤンS」でした。テレビCMでカロヤンだけが「医薬品だけにできることがあります。発毛促進」とうたっていましたが、これはカロヤンだけがリアップ以前に唯一「医薬品」として認められているからできたキャッチコピーです。カロヤン以外は医薬部外品でした。また他のが「育毛」促進剤だったのにカロヤンは「発毛」促進をうたっていたのも特殊でした。

 カロヤッ以外にも色々候補があったのですが、とりあえずL社の製品はやめました。L社がスポンサーの昼番組で司会を続ける小堺一機があのままでは、まるで説得力がないからです。ちなみに余談ですがL社の製品といえばその後、「ペンタデカン」というのがデータを捏造していたのがバレて市場から消えていきましたね。

 カロヤッは半年ほどつけましたでしょうか。はっきりいってまったく駄目でした。と同時に疑惑が渦巻いてきたのです。そもそも医薬品だからといってホントウに効くのだろうか。そんなに効くなら第一製薬はハゲに悩む世界中の男性向けにカロヤンを輸出してウはウハ大儲けなんではなかろうか……。

 ちなみにこのカロヤンを開発したといわれている医学博士Tは最近『あなたの脱毛・『ゲは私にまかせなさい』という著作の中で「4ヵ月で若々しい髪がどんどん生えてくる!」という旨の主張をしています。しかしインターネット上で信頼されている育毛HP『毛髪110番』には、かの人の経営する育毛クリニックに対する苦情が50~60件も寄せられているようです。これに限らず育毛クリニック業界は各地消費者センターの苦情の常連とのことですので、お互いせいぜい気をつけましょう。

 さてその後、鐘紡の薬用紫電改というどう考えても旧日本軍の飛行機フェチが名付けたとしか思えない製品も試しましたが、とくに効果は感じられませんでした。

薬ミシュラン』より