2014-06-06から1日間の記事一覧

高齢者保健福祉施策の総合的展開

1)保健と福祉の連携・調整 高齢者の福祉を図るためには、高齢者福祉サービスと高齢者保健サービスの緊密な連携が不可欠である。このため、老人福祉法には、福祉の措置の実施にあたっては、老人保健法に基づく措置と、介護保険法に基づく措置との連携一調整…

高齢者のための保健福祉施設

1)老人福祉施設 老人福祉法は、「老人福祉施設」として7種類の施設を規定している。 (1)種類と目的 ① 老人デイサービスセンター一身体上または精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障がある65歳以上の者を通わせ、入浴、食事の提供、機能訓練…

高齢者保健福祉の財政

1)福祉の措置費と徴収金 老人福祉法による福祉の措置に関する費用は公費で負担される。負担割合は、原則として国が1/2、都道府県が1/4、市町村が1/4 (指定都市は1/2)である。ただし、本人または扶養義務者から、負担能力に応じ、措置に要する費用の全部ま…

高齢者保健福祉の実施体制

1)市町村(特別区を含む) 高齢者の保健福祉サービスは、市町村が一元的に行う。地域の実情に即したきめ細かなサービスを提供するためには、住民に最も身近な自治体が行うことが妥当だとの考えからである。市町村は、在宅サービスと施設サービスを問わず、…

介護保険の概要

1)運営主体 介護保険の保険者(運営主体)は、国民に最も身近な行政単位である市町村である。国、都道府県などは、財政面や事務面から市町村を重層的に支援する仕組みになっている。 2)被保険者と保険料 被保険者は40歳以上の者(第1号被保険者は65歳以…

高齢者保健医療制度の仕組み

1)実施主体と対象 老人保健法に基づいて行われている高齢者保健医療制度は、市町村(特別区を含む)が実施主体である。ただし、医療等は、正確にいえば、市町村長(特別区長)が国の事務として実施する法定受託事務である。 医療等は70歳以上(一定の障害…

高齢者の生涯教育の内容

「楽生学園」〈長野県伊那市開設〉(学習活動が活発な老人クラブ的要素のもの) 学習目的 ① 現代の若い人と話しあえる老人になる。 ② 家庭で老人が明朗であれば、その家庭は円満である。愛される老人になること。 ③ 老人が家庭なり社会なりに役立っていると…

 高齢者の生活とボランティア活動の課題

高齢者のボランティア活動の推進には、「きっかけづくり」と「活動の場」の提供が重要である。なかでも、住まいの近くで気軽に立ち寄ることができる活動場所は必要であり、小中学校の教室や保育所、公民館などの公共施設のほか、企業の施設や学習塾、民家な…

 高齢者の生活と生きがい活動

1 高齢者の生きがい対策の実際 [生きがい]が、政策に登場した背景には、日本のエコノミック・ミラクル(経済の奇跡)に多大の貢献をしてきた、「昭和一桁男性」(1926~1935年の生まれ)の退職後の生活が問われたしたのが、ひとつのきっかけだといわれる。…

プロダクティブ・エイジング社会

1 高齢者の身体的・精神的特性の理解 老化は生命の誕生と同時に始まり、死でもって終結する生物学的・社会的・構神的なプロセスである。ではなぜ老化するのか。これまで、動脈硬化、骨粗鬆、器官の萎縮等は老化の特徴であり、これらの病状の出現が、老化の…

老年期痴呆の分類とそれぞれの特徴

痴呆は脳の器質的障害のため、正常に発達した知能が持続的に低下した状態であり、診断にあだっての3ポイントは、日常生活に支障を来す程度の障害があり、意識障害がなく、器質的要因の存在することである。老年期痴呆の分類とそれぞれの特徴を以下にまとめ…

加齢にともなう精神機能の障害

機能性疾患としては、以下に述べる老年期痴呆のほかに、うつ病、幻覚妄想状態、神経症、人格障害などをあげることができる。加齢とともに脳に何らかの病変が生じることはよく知られているが、脳の老化や精神的老化は個々によりさまざまであり、その個人差は…

高齢者の知能、創造性、人格

1 知能 高年期になると知能は低下すると考えられてきた。知能はいろいろな能力が集まり、それらが状況に応じて機能しているものと考えるのが妥当とされている。知能は、一般的常識や判断力、理解力などのような過去に学んだ知識や経験をもとにして日常生活…

高齢者の身体的側面

先進国が直面している高齢者問題は、人が生物学的に老いていくということよりも、むしろ老いに対する社会的な偏見にあって、このため時には不当とも思われるような、さまざまな制限や差別を受けることにある。そこで、高齢者を心身の両側面から理解し、協働…

高齢者虐待の要因・実態・防止策

介護を必要とする高齢者に対する虐待が増加している。高齢者の虐待が起こる要因として、①介護する側の過重な負担への不満、②要介護高齢者を抱えたやり場のない閉塞感によるストレス、③介護者と親族との財産絡みのトラブル、④同居家族との人間関係の不和、⑤介…

「孤独死」の事例

都市化が進んで身内との近住率が低下し、近隣との交流も少なくなったため誰にも看取られずに死亡し、死後何日もたって発見される「孤独死」が増えている。そうした「孤独死」は、緊急時に連絡できる警報設備が整っている近代的な高齢者住宅のなかでも安全機…