ミューズでオナニー

 

 さて、料金を振り込んで4日後、見慣れない海外便が到着ヽ。早くもミューズが届いたのだ。こんなに早いとは思ってもみなかった。ドキドキしながら紙袋を開ける。白く四角い小さな箱が入っている。「MUSE 250mcg」と書かれたその箱の中には、さらに平べったい袋が6包並んでいた。中身は小さなスティック状のもののようだ。説明書も入っているが、当然英語。小さな文字でびっしりと書かれているので英語に弱い僕には始めから読む気も起きない。こういう時にはインターネットで調べてみるに限る。

 「MUS巴で検索してみると、たちまち多くのサイトが見つかった。ほう、97年にFDA(米国食品医薬品局)で認可されたのか、どんなインポでも使用後10分で100%勃起するのか。んで副作用もないとくれば、いいことずくめじやないか。「独自に開発されたアプリケークーを使って、自分で尿道から薬を注入でき、いつでもどこでも簡単に使える」か、え……尿道

 なんとミューズは尿道から注入するというクスリだった。袋を開けてみると、スポイト状のプラスチック容器が入っている。こ、こ、この先端をチンポの中に入れるのか? 考えるだけでも股間がムズムズしてくる。

 しかし、もう買ってしまったのだ。試さないワケにもいかない。とりあえず一度実験してみようか。

 事務所に誰もいない時を見計らって、ミューズを取り出し、パンツを下ろす。自分のチンポの先端を見る。この小さな穴に、なあ。恐いなあ。アプリケーターの先端キャップを外す。え、結構太いぞ。針みたいなもんだと思っていたけど細いストローくらいないか、これ? こんなの入るのか? その先っちょに少量の薬が入っているのが見える。これがミューズというわけだ。

 イラストだけを頼りに説明書を読む。イラストのテンポは上向きにそそり立っている。勃起させないといけないのか? しかし、こんな状態じゃ勃だないぞ。あ、勃たないからミューズを使うわけだから、勃たせる必要はないはずだよな。そう納得してしぼんだまま挿入することにする。

 で、これ、どのくらいまで入れるんだ? またイラストを見る。げ、根元までズッポリ入れてるじゃないか。そんなに奥まで? この太い管を? しかし、やらなければ原稿が書けない。やるしかない

 勇気を振り絞って、テンポをギュッと握りしめて尿道を開く。ひし形にポッカリと開いた小さな穴。ここヘアプリケークーを挿入。

 ズ、ズ、ズ……。痛い、やっぱり痛い。というより恐い。生理的な恐怖心がある。たいして痛いわけではないのかもしれないが、奥まで挿入することが、どうしてもできない。結局3センチほど、約半分ほど挿入するのが僕の構いっぱいだった。もうダメだ。いや、よくやったよ、僕。もう十分じゃないか。と自分を慰めつつ、ここでポンプを握る。薬液が尿道奥深くへ送りこまれた、かどうかはわからないが、とにかく注入は終了した。

 アプリケークーを抜き、説明書のイラスト通りにチンポをよく揉んで薬液を浸透させる。効き目があらわれるという10分後まで、ひたすら揉み続ける。

 揉んでいるうちに、段々硬くなってくるのがわかる。そりゃそうだ、オナニーしてるようなもんだか

 この手のクスリには構神的な刺激も重要ということなので、ズリネタも用意する。優香の写真集『セレナ』を広げ、フランス書院文庫の杉村春也『美姉妹奴隷生活』を読みつつ、チンポをさする。

 おお、確かにいつもより硬いような気がする。チンポの中に太い芯が入っているような感じ。これがミューズの力か?

 そして発射に至ったワケだが、ビュッと音が出そうなくらい勢いがよい。しかも発射した後も硬さはそのままだ。ただ、性欲は発射と共に収まるので、ただ硬いだけのテンポだ。その処置に困る。

 「自宅でも、ホテルでも、旅先でもインポの心配なく、セックスに臨めます。いざ、という直前に、トイレやバスルームでこのミューズをサッと注入するだけで彼女に気づかれることなくセックスに臨めます」なんて業者のホームページには書かれていたけれど、事前にコレを注入する勇気は、僕にはないなあ。

 というわけで、ミューズに関しては「実地の実験」はしなかった。説明書通りに尿道の奥まで挿入しなかったので、効果も100%じやなかったかもしれない。だって怖いんだから、ポンドに。確かに普段よりもグッと硬くなったし、射構の勢いもあったことは事実だけど。

薬ミシュラン』より