中央薬事審議会-委員の利害関係で認可が決まる

 

 中央薬事審議会とは、治験データとセットで認可申請された薬を、承認するかどうか決める機関だ。しかしこの審議会の実体もお粗末なものなのだ。

 たとえば89年に、クレスチン(呉羽化学)という、キノコを元につくられた抗ガン剤が中央薬事審議会で再審査を受けた。なぜ再審査を受けたかというと、さんざん「効かない」という評判が立っていたからなのだ。たしかに抗ガン剤としては認可は取り消されたが、なぜかその後も免疫増強剤と名を変えて生き残っている。

 この生き残りの論拠とされたのは、クレスチンとある薬とを併用すると効果が出るという論文だったのだが、問題が2つあった。1つは、この論文がメーカーお抱えの出版社が出している医学雑誌に掲載されていたこと。もう1つは、論文を発表した医師2人がこのときの中央薬事審議会に参加していたことである。申請に関わった人間が審査するのだから、身びいきにならないわけがない。

 さすがにこれはまずいと思ったのだろう。翌年、中央薬事審議会は治験にかかわっだ医師はその薬の審議に当たらないことを決めた。こんなことは世間の常識に照らせば当然の話だ。しかし驚くべきことにこの4年後に毎日新聞が調査したところ、なぜか4年前の決定は守られておらず、102人の中央薬事審議会委員のうちまだ14人もの医師が治験に関わっていたという。

 認可されるかされないかが、審議会委員の利害関係によって決められているのだ。丸山ワクチンが大企業から申請されていたら即認可されていただろうとは、よく言われる話である。

 ではこうした薬事問題を総括する厚生省はどうか? 記憶に新しいのは、薬害エイズ事件で危険を認識しながら何ら手を打たず薬害を拡大させたことである。しかしこの薬害エイズ問題、実は30年前のサリドマイド薬害の繰り返しなのだ。

 サリドマイド薬害のとき、ドイツではある医師がサリドマイドの催奇性について報告した4日後に販売中止をメーカーに通告した。そして9日目には市場からサリドマイド剤はすべて回収された。これに対して日本の厚生省は、この報告を受けて9ヵ月間もサリドマイド剤を放置し、新たな申請を承認すらしているのだ。

薬ミシュラン』より