薬の個人輸入はどこまで合法なのか

 

 具体的な輸入ノウハウの話に入る前に、まずは法律的な問題をおさえておきましょう。

 薬の輸入というと麻薬密輸のイメージがあるせいか、とんでもなく悪いことだと決めつけてしまいがちですが、そんなことはありません。合法的な範囲なら胸を張ってジャンジャン輸入すればいいのです。では何か合法で何か違法なのか?

 まず薬の中でも特に向精神薬の輸入に関係するのが「麻薬および向精神薬取締法」という法律です。ぼんやりとでもこの名前ぐらいは覚えておきましょう。

 さて、そもそも法律は、誰かの権利、利益を守るために作られるものです。では「麻薬および向構神薬取締法」や「薬事法」はどうかというと、もちろん建前としては国民の生命と安全を守るもの、ということになっています。しかし実際にはかなり違う側面もあるのです。

基本は医薬品業界の保護

 ヤクザの縄張りで勝手に商売をすると怖いお兄さんがやってくるように、僕らが薬を売ると広域暴力団さくら組=警察のお兄さんが令状を持ってやってきます。そう、国というのは巨大な縄張りでもありますから、勝手に薬を売るのは国にとってはショバ荒らしと同じなのです。

 しかし、売ってもいい人もいます。医者や薬剤師です。極端な例ですが医者がリタリン(成分的にはほとんど覚醒剤)を500錠処方したとしましょう。この場合、医道審議会というところから「お叱り」を受ける可能性はありますが、法的には何ら問題ありません。理不尽ですがそれが現在の法律です。医師会や製薬業界が行政に激しく食い込み、政治家をはじめとする国の側も医薬品業界からのアガリを期待しているというもたれ合いの構造の中で、この業界の既得権益は異常なほど優先されているのです。

 たとえば95年にオウム真理教の起こした仮谷清志さん拉致・殺人事件で犯人の指紋切り取り手術をした林ら医師は、殺人に荷担したにもかかわらず医業停止3年です。また91~92年には、闇で暴力団ハルシオンを大量におろした医師が何人もいましたが、それでも医師免許を数力月停止された程度です。最も重い免許剥奪をされた医師たちですら、その3割に数年後には免許が再交付されています。一般人やヤクザに対しての処分に比べたら、よほど甘いことがわかるでしょう。

 とにかく国は、医師や薬剤師以外の人が薬を取引し、医療行為をすることを全面的に禁止しています。極端な例ですが家族が医者でもらってきた風邪薬すら、本人以外は飮んではいけないのです。

 ではタダならいいのか? というと、これもダメです。もちろん飲み屋で胃薬をもらうのもダメです。巨大な既得権産業である医薬品業界の権益を荒らすものは悪なのです。ちなみ最近までコンビニでリポビタンDすら売れなかったのも、既得権益を持っている人たちへの配慮からです。」輸入できない薬・できる薬

薬ミシュラン』より