バソマックスを飲んでAVにチャレンジ (前編)

 

 ミューズ到着から4日後、つまり入金してから8日後にバソマックスも無事届いた。

 バソマックスはバイアグラと同じようにペニスへの血流量を増やし、勃起しやすくさせる作用があるといわれている薬だ。バイアグラは血圧の低下による心臓への負担や副作用が問題とされているのだが、バソマックスはその問題が大幅に改善されているそうだ。また服用後20分~30分で効果が現れるなど、即効性も増している。ただし、まだFDAの認可が降りていないのでアメリカでは末発売である。現在はメキシコで「Z-MAX」の商品名で販売されているという。

 今回僕が入手したのも、この「Z-MAX」だ。商品名のロゴが印刷してある白い銀紙に一粒づつ包装されたものが10粒、クッション材に包まれて入っていた。商品だけが送られてきたミューズとは違い、日本語の説明書が一枚同封されている。これはありかたい。ただ「男女兼用の精力剤であり、女性が使用することにより高いオルガズムを得られます」という一文は気になった。勃起しやすくするだけのはずだから、精力剤ってのはちょっと違うんじやないかなあ。

 さて、バソマックスはどうやって試そうか。どうせなら、勃たないような状況に自分を追い込んで、それでも勃つかを試してみたい。そこで知りあいのAV監督、バクシーシ山下に電話をかけた。

「ねえ、キツそうな現場ない? 絶対に勃たないようなさ」

 御存知の通りバクシーシ山下監督は、普通のAVとは少々毛色の違う作品ばかりを撮り続けている。出演する女優も男優も、真性のマニアとか完全にイッちゃってるヒトばかりだ。

 僕はちょっと前までライター業のかたわらAV男優のバイトをやっていたのだが、山下組(業界では撮影チームのことを組と称する)の現場ではマトモに勃った試しがない。異常な現場ばかりだからだ。確実に壊れているような男優の相手をした直後で、まだ泣きじゃくっている娘とカラめといわれても、やっぱり勃かないでしょう。

 久々のAV現場、しかも最もハードな山下組。これでちゃんと勃てばバソマックスのスゴさもわかるというものだ。

 数日して山下さんが「ピッタリの現場があるよ、AV初出演の人妻なんだけどさあ」と電話して来た。山下さんが「ビックリ」というからには、かなりキツイだろうということは想像がつくが望むところだ。頼むぞ、バソマックス。お前の力を見せてやれ。

 というわけで当日。その人妻さんの自宅で撮影は行われた。ADに案内されて入ったそのアパートは異様な匂いがした。どうにもケモノ臭いのだ。そしてドアを開けた途端に、「ワンワンワン」と吠えながら、巨大な犬が襲いかかってきた。いや、実際は中型犬くらいの大きさだったのだが、その時は巨大に見えた。あのケモノ臭さは、この犬のものだろう。ADに犬をおさえつけてもらって、奥の部屋に行くと、カメラを構えた山下さんと、金髪の女性がいた。この子が今日の相手か。人妻といっても若い。20代前半だろう。お世辞にも美人とはいえないが、すごいブスというわけでもない。まあ、平均よりちょっと下という程度。しかし、なんかちょっと変だ。ん1、少し足りない感じというか。上手く舌がまわらないのか、しゃべっていることがよく聞き取れないのだ。

 この子と、この部屋でセックスしろと山下さんはいう。うーん、キツイなあ、キツイがバソマックスの力に頼ろう。

 人妻さんが居間に布団を引き始める。すると犬がまた「ワンワンワン」と激しく吠え始めた。見ると、ペニスが勃起して先からピンク色の陰茎が露出している。こ、こいつさかってる! これから御主人様がセックスするということを察知したのか?

 つながれている鎖を引きちぎらんばかりに暴れ、吠え、ペニスを勃起させている犬。この前で彼の御主人様とやるのか? マジ? バソマックス無しでは絶対に無理だろう。