ピラセタム、DHEA、GHB

■ピラセタム 

 頭の良くなる薬ムーブメントの元祖。価格が安いこともあって気軽に用いられ、スマトラの入門薬的な位置づけにある。

 もともとはアルツハイマー病治療薬として開発された薬である。作用としては脳内物質アセチルコリンを増やす作用があるとされる。抗うつ薬に近い効果があり、若干の覚醒作用もある。もともとアルツハイマー老人性痴呆症うつ病によく似た意欲の低下が見られるので、この薬の効き目が抗うつ薬に酷似しているのもむべなるかなである。

 しかし、記憶が良くなったなどの話を聞くが、筆者個人はいまひとつ信用していない。ピラセタムの覚醒作用によって一時的に頭が冴えわたり、それを頭が良くなったと勘違いしているのではないかと思うのである。

アミネプチン

 国際オリンピック委員会が使用を禁止する興奮剤。いわゆるドーピングに引っかかる薬である。これ以上の信頼できそうな情報は見つからなかっか。

■DHEA

 もともとはリューマチの治療用として欧州で使用されていた薬。脳内で性ホルモンに変化するいわゆるステロイド剤であり、そのためリューマチ治療に用いたときに、脳内のDHEA濃度の低い老人に若返ったような効果がみられたのである。しかし老人には有効とはいえ、若者のように脳内にDHEAがあふれている人間に使うのはどうかと思う。なお、性ホルモンのバランスを崩す薬なので、薄毛で悩む人は摂取しない方がいいかもしれない。

 ちなみに日本では妊婦の子宮口を開かせる薬として、DHEAの硫酸塩化合物が使用されている。

DMAE

 脳卒中や頭部外傷の意識障害に用いる脳代謝改善意識障害治療剤の中間物質である。体内で酸可溶性コリン類へと変化しこのコリンが脳内のアセチルコリンを増やすといわれている。

 しかし、通常はアセチルコリンの前物質はアルツ(イマー病患者でさえふんだんにあるとされ、むしろアセチルコリンが足りなくなるのは合成酵素の問題であるとされるのだが……。

■GHB

 カンマヒドロキシ酪酸の略称。酪酸(バター等に含まれる)の水酸化物であり、もともと人間の体内にもGABAの代謝物としてごく微量存在している物質である。

 薬理的な特徴としては、CYP450酵素による代謝を受けないので肝臓への負担が少ないといわれている。この点は長所といえるが、しかし作用としてはアルコールに酷似した性質を持つ点は要注意である。脳の一部に働きかけるというよりは、無分別に脳を抑制してしまうのであり、このため呼吸が止まりかねないという危険性があるのだ。

 医薬品として承認している国はほとんどなく、唯一アメリカでアル中治療としてアルコール代わりに使われている。

薬ミシュラン』より